700マガジン
フットゴルフワールドカップ ~その8~
2022.06.24
フットゴルフワールドカップ2018モロッコ大会が終わりました。
モロッコ大会男子の部優勝マティアス・ペローネ選手
団体優勝のフランスチーム
この大会から新設のカテゴリーが増えてシニアや女子の部に広がりを見せた個人戦での戦い。また、ワールドカップにおいて初めて日本チームが出場を果たしたチーム戦。
出場した22名の選手たちはそれぞれの死力を尽くして戦いました。
言うまでもありませんが、ワールドカップの持つ存在の大きさ、重さは我々の想像を絶するものがあるようです。
「日本代表としてワールドカップに出るためにフットゴルフを始めたので、大会終了後に少しやりきった感が出てしまいました。そのくらい、この大会にかけていたんだなと!なかなか気持ちの持ち方が難しかったです。」(小林隼人選手/2018年ワールドカップ出場)
この大会に出場するためにどれだけの努力を重ねたことでしょう。そして世界の舞台で自分を奮い立たせながら戦った選手の皆さんには肉体的にも精神的にも大きなダメージがあったものと想像できます。
そんなワールドカップが選手の皆さんにもたらしたものは何だったのか。
ワールドカップを経ての自身や周囲の変化について伺いました。
「W杯に出場したことで、本気で世界で戦うんだという意識が自分の中に芽生えたことが1番の変化だと思います。」(前田春香選手/2018年ワールドカップ出場)
「ワールドカップでの経験がラウンド中の思考、戦術、精神面において自身の成長に繋がりました。その後の大会からは各カテゴリーで国内のレベルが上がったように感じました。」(阿漕洋子選手/2018年ワールドカップ出場)
「モロッコW杯での悔しい結果から「もう負けたくない。悔しい思いはしたくない。」という強い思いが芽生え、W杯前よりも高い目標意識、モチベーションを持って活動に取り組むようになった。
チーム戦の経験が必要だと強く感じ、チーム戦を想定したラウンドをするようになった。日本のレベルがわかり、目指すべきレベルを把握できるようになった。」(高波瀬史人選手/2016年・2018年ワールドカップ出場)
「個人、団体で力を発揮できなかった、持っている力を発揮できたとしても、上位陣との差は明確となった。会長がよく言っているが、重要な場面で ここで外したら負ける、差を広げられるといった思考が先行しがちであったが、ここで決めれば勝てる!といった思考にどう持っていけるか考え国内の大会に挑むようになった。ガナドールチーム理念でもある、勝ちにこだわり、勝つための条件を整え、試合ではプラス思考を働かせることを重要視している。」(山縣祐人選手/2016年・2018年ワールドカップ出場)
「個人的には2回目のワールドカップでしたが、まだまだ世界との差は大きいと感じた大会でした。大会を経て個人や周囲の変化としては、世界を経験出来ておらず、且つこれから世界を目指している選手、目指そうとしている選手への情報共有をするようになったことだと感じています。百聞は一見にしかずとも言うように、世界を知るには世界へ出ることが一番だとは思いますが、そう簡単なことではありませんので、共有という手段で情報を伝えるようにしています。」(八谷紘希選手/2016年・2018年ワールドカップ出場)
「より多くの日本代表メンバーが世界に挑み、自身の戦える部分やまだまだ足りていないところについて肌で感じるとともに、改めて世界との差はまだまだ大きく、同じ練習をしていてもこの差は埋まらないなと再確認させられました。(日本もかなりの勢いでレベルアップを図っているものの、まだまだ世界と比べるとその差は歴然でした)」(桑田寛之選手/2016年・2018年ワールドカップ出場)
「長いワールドカップ期間いろいろなことがありましたし、行く前と帰ってきた後では自分の中でも感情というか、考えることも大きく変わってきました。何よりもいろいろな難しい経験もさせてもらいました。今後の自分のフットゴルフ人生・キャリアに対して体験してきただけでは意味ありません。これは体験です。こういった体験をいつかプラスに転換できたときに初めて経験となるのだと思います。なのでこの先、経験値として高めていければいいと思っています。そして、詰めていかなければいけないものはちょっとではないと思います。もしかしたら環境を変えて、新しい変化をもたらさなければいけないと気づいた選手たちも数多くいたと思います。これからが勝負だと思います。自分の置かれている環境の中で、どれだけバトルして高めていけるかだと思っています。そして、やはりそういう刺激という部分をこの国にもっともたらさなければいけないと思っています。今の日本の置かれている状況は非常に厳しいので、少しでもジャパンツアーでの上の順位に一人でも多くの選手が絡み、都度巻き返し巻き返しがあるように、ワールドカップで培ったものや、厳しさというのを日本に落とし込めればいいなと思っています。」(冨沢和未選手/2016年・2018年ワールドカップ出場)
「2018年モロッコ大会で感じた「フットゴルフ」とは?という自身の中の疑問が残る大会だった。モロッコ大会では、カップ周りの難しさが、グリーン奥のカラーにあり、カップをオーバーすると背の高さほどの大きなバンカーがあったり、ボールの転がす強さでデザインされていた。日本のコースでは、カップ周りの難しさが、芝の深さや、傾斜でデザインされることが多かった為、日本での「フットゴルフ」、海外での「フットゴルフ」に若干のギャップを感じた。
1Day大会なのか、複数日大会なのか、など条件の違いもあると思うが、日本には「攻める」フットゴルフが、根本にある気がする。しかし、モロッコ大会では「守る」ことがフットゴルフだと感じさせられた。決して、日本の環境のせいで勝てないと言っているわけではなく、世界のスタンダードを早く知り、世界で勝つために自身で取り組むことができれば問題ないと考える。世界トップ選手になりたいと思う選手が、日本でのフットゴルフしか知らないということが問題だと思った。
2016年アルゼンチンから2018年モロッコの2回のW杯で日本のレベルは確実に上がっている。しかし世界のレベルは、更に上がっていた。このままでは世界一に近づけないのでは?と世界へ飛び出すことを考え出した。」(安村翼選手/2016年・2018年ワールドカップ出場)
2018ワールドカップモロッコ大会日本代表
以前、フットゴルフワールドカップ~その3~において日本のフットゴルフに立ちはだかる大きな「壁」としてこんなキーワードを残しました。
「プレーできる環境、海外で勝てる環境」
フットゴルフそのものが広く認知され、流行りではなく文化として根付かせるための環境作り、そしてワールドカップをはじめとした世界的な大会で勝てるための真剣勝負の場の創出。
これらは日本でフットゴルフがさらに大きなものになっていくために必要なことだと考えました。
あれから3年が経過し、様々な皆さまの尽力により日本の国内におけるフットゴルフを取り巻く環境は大きく変わりました。その甲斐もあり、フットゴルフをプレーできるゴルフ場が増えるにつれてプレー人口も増加し、それに比例するように競技としてフットゴルフをプレーする選手の数も増えていきました。その結果、選手間での競争も激化し、ワールドカップに出場するための争いも活性化。そのことが選手の成長を促しモロッコ大会での結果は、アルゼンチン大会よりも良いものとなりました。
ただ、それでも大きく立ちはだかる世界のトップ選手、トップの国との「差」。
選手の皆さんのお話からはモロッコ大会でそんな差を目の当たりにしたこと、そしてその差を縮めるための取組みに対する志を感じます。
そしてきっとその志の大きな拠り所はここにありました。
「第3回アジアカップ」
目指すべき次の大舞台です。
そしてその先にはさらなる夢の舞台、第4回となるワールドカップをも見据えていたことでしょう。
2019年の国内ジャパンオープン第1戦は3月31日(日)。
結果を残し、自身が強くなるためにひとつひとつの大会、プレーがアジアカップ、そしてその先の次のワールドカップにつながっている・・・
新たな戦いの幕開け。選手たちの動向に俄然注目が集まります。
ワールドカップ戦士たちの戦いはいかに。
そしてそんな中、後の日本代表に名を連ねることになる選手の活躍に果然注目が集まることになります。そんな選手たちのことを紹介していきましょう。
「私がフットゴルフを始めた年にW杯のモロッコ大会があり、国内のトッププレーヤーが日本代表として出場しました。2018年、私がフットゴルフを始めた年のジャパンツアーにおいて、1度も10位以内に入ることができず、ツアーファイナルにも出場することができませんでした。
W杯に出場する選手は、貴重な経験をし、必ずまた強くなって帰ってくると思っていたので、誰よりも練習をしなければ、国内のトッププレーヤーに追いつくことも追い越すこともできないと思い、色々なことを考えただひたすらに練習やトレーニングに励みました。『次は必ず』という強い思いで。
ジャパンツアー初優勝は、山口県で開催された山口周南オープンでした。前の月に関東ツアーでも初優勝を果たし、その勢いで良いイメージを持って戦えたと思います。
国内トッププレーヤーでもある小林隼人選手とのプレーオフ。遂にここまで来たという思いと、今までやってきたことを思い出しながら、胸を借りるつもりで思い切ってプレーすることができ勝利したことを今でも鮮明に覚えています。
勝利した瞬間、仲間が駆け寄ってくれて祝福してくれ、改めて周りに恵まれていると感じましたし、仲間の大切さを実感しました。
2018年にフットゴルフを始めて、最初に海外の選手と戦ったのが、JAPAN INTERNATIONAL FOOTGOLF OPENでした。海外のトップ選手も参戦しており、最終日の最終組で冨沢選手が戦っているのを観て、私も絶対そこまでいって勝ちきりたいと思ったのを今でも覚えています。
翌年2019年にも同大会が開催され、意気込んで挑みましたが、練習ラウンドで肉離れをしてしまい、痛みと戦いながら最終日を迎えました。表彰台が狙える位置まで迫っていましたが、最終ホールで痛みに耐えきれなくなり、10打叩いてしまい、大きく順位を落としました。悔しさのあまり、足早にロッカールームへ戻り、1人泣き崩れていました。同組でラウンドしていた小林隼人選手が『悔しいな。この悔しさは絶対チカラになるから。』と話してくれたことを覚えています。」(立花友佑選手/2019年アジアカップ出場)
右:立花友佑選手 左は松浦新平日本フットゴルフ協会会長
「モロッコでのW杯の代表選考が行われるのを知ってフットゴルフを始めました。初めて出たコンペが2018年3月に開催されたジャパンオープンでした(フットゴルフ自体2回目)正直、上位になれると思って出た大会で全然うまくいかなく、「もっとやれる」という思いで、真剣に取り組むようになりました。
2018年9月に岐阜で開催されたインターナショナルオープン(メジャー大会)に出場し海外の選手の取り込む姿勢、プレーに刺激をうけ世界で戦いたいと更に強く思いました。「コースマネジメント」「メンタルマネジメント」についてゴルフから学ぶ機会を増やし、「自分を知る」ために自分の各種キックの飛距離、得意なキックなどを整理する作業をこの頃はじめました。今は開催されておりませんが、シーズンの大会で10位以内に入った選手だけが出れる「ファイナル」に最後の大会で、滑り込むことができました。上記の「思い」や「活動」が結果に結びつき、自信になりました。
W杯に出場を目標に始めたフットゴルフは初年度は目標に達することはできなかったが、この1年間は次の代表に選ばれたいと強く思える一年だったため、そこまで落ち込むことはなかったです。
【モロッコ大会中】
モロッコワールドカップ期間中は大会HPのリーダーボード(リアルタイムスコア速報)や毎日配信されるハイライトムービー、参加している選手のSNSを常にチェックし、日本人選手の成績を気にしてました。
【モロッコ大会後】
W杯後、アジアカップの代表選考会に向け、自身の活動の幅を広げるためスポンサーを探し始めました。
2018年の大きな課題は、代表クラスの選手と比べ明らかに経験値が少なく実践に弱い(練習ではスコア出るが、大会で結果出ない)と感じ、2019年の代表に選ばれるためには実践の場を増やそうと、ジャパンツアーの他に関東ツアーなどの地域大会にも積極的に出場を考えました。2019年8月でジャパンツアー初優勝、10月に2回目の優勝をし、その結果アジアカップの代表に選出していただきました。」(大塚高雅選手/2019年アジアカップ出場)
大塚高雅選手
「2016年から本格的に始めたフットゴルフに専念するため、小学生から続けてきたサッカーを引退、サッカーのシニアカテゴリーで全国大会出場という目標を断念し、フットゴルフの日本代表になるという目標に切り替え、2018年のモロッコワールドカップ出場を本気で目指しましたが、結果は遠く及ばず落選。自分の不甲斐なさと選ばれたメンバーに頑張ってもらいたいという複雑な思いを胸に、ワールドカップ開催中は居ても立っても居られず、茨城県のジュンミニゴルフ場で一人で朝から日没まで(9ホール×11週、計99ホール)ひたすらプレーしたりもしました。そして日本人ではありませんでしたが、日本開催の国際大会で交流のあったアルゼンチンのMatias Perrone選手の優勝はとても嬉しいものでした。ただ、やはり直接現地で見届けられなかったのは凄く残念でした。
2019年からシニアカテゴリーとなり、そのデビューとなった開幕戦、栃木オープンで優勝と幸先の良いスタート。そして、国際大会ではFIFG500の第40回Japan Openで3位、続いて出場した初海外のChina FootGolf Openでも3位に入賞、両大会とも4位で迎えた最終日に粘り強さを発揮して逆転の嬉しい入賞、シニアカテゴリーポイントランキングでも3位に。しかし、第3回アジアカップ(オーストラリア開催)の日本代表シニアカテゴリー4枠に落選、ずっと目標にしてき日本代表にあともう少しのところだっただけに悔しくて、悔しくて、競技をやめようかと本気で悩みました。
そんな中、関東代表として地域チャンピオンシップ2019に出場し、複数日に渡る東北、関西、東海の各地域の代表メンバーたちとの真剣勝負は本当に楽しく、団体戦では優勝。代表落選から気持ちを整理し、フットゴルフと向き合うきっかけになりました。
そして、Divined ALE FootGolf CLUBに入団して新しいスタートを切り、新シーズンは12月から始まる変則的なスケジュールで日本ワールドカップを目指すことになりました」(根元央希選手/2022年パシフィックトロフィー出場)
根元央希選手
「私は2018年の12月にフットゴルフを知りました。当時はフットサルで怪我をして手術をした後だったので、まさか日本代表とか年間優勝とか目指すようになるとは思わなかったです。
(2019年のツアーの中で印象の残っていることについて)岐阜で行われた2Daysの大会で、私以外全員代表経験者という状況でラウンドして優勝することができたことです。
フットゴルフに出会った年、日本代表に選ばれた年などいろんな経験をさせていただいた一年だったので、とても印象に残る1年でした。
この年の経験が本当に私の原点なので、今でもよく思い出すようにしています。」(三浦尚子選手/2019年アジアカップ出場)
【選手写真提供】
三浦尚子選手
強烈な「個」の力とその努力が実を結び優勝を争う戦いはさらに激しさを増していきます。
この年のジャパンオープンの優勝者をまとめてみました。
3月31日 栃木オープン(TBC太陽クラブ)
一般:桑田寛之選手 シニア:根元央希選手 女子:西畑静佳選手
4月13日 第1回Shieldsオープン(TBC太陽クラブ)
一般:桑田寛之選手 シニア:清水芳忠選手 女子:三浦尚子選手
4月21日 群馬オープン(群馬カントリークラブ)
一般:高波瀬史人選手 シニア:工藤誠司選手 女子:山野香織選手
5月18日 第2回Shieldsオープン(TBC太陽クラブ)
一般:鈴木秀成選手 シニア:田中猛選手 女子:阿漕洋子選手
5月26日 山口周南オープン(徳山国際カントリー俱楽部)
一般:立花友佑選手 シニア:大塚有尋選手 女子:山野香織選手
6月15日 第3回Shieldsオープン(TBC太陽クラブ)
一般:桑田寛之選手 シニア:田中猛選手
6月29日 第4回Shieldsオープン(軽井沢プリンスGC)
一般:冨沢和未選手 シニア:田中猛選手 女子:山野香織選手
6月30日 ビクセンオープン(軽井沢プリンスホテルゴルフコース)
一般:田中雄太選手 シニア:樫原 篤弘選手 女子:阿漕洋子選手
7月13日 第5回Shieldsオープン(群馬カントリークラブ)
一般:鈴木秀成選手 シニア:工藤誠司選手
7月27日~28日 第40回ジャパンオープン(フォーティーンヒルズ C.C)
一般:ニコラス・ガルシア(日本人最高位は3位鈴木秀成選手) シニア:工藤誠司選手 女子:三浦尚子選手
8月17日 第6回Shieldsオープン(美野原カントリークラブ)
一般:大塚高雅選手 シニア:工藤誠司選手 女子:山野香織選手
8月25日 北海道オープン(ゴルフ5カントリー美唄コース)
一般:冨沢和未選手 シニア:樫原 篤弘選手 女子:三浦尚子選手
9月14日 第7回Shieldsオープン(セブンハンドレッドクラブ)
一般:田中雄太選手 シニア:都築竜仁選手 女子:山野香織選手
9月29日 栃木700カップ(セブンハンドレッドクラブ)
一般:鈴木秀成選手 シニア:樫原 篤弘選手 女子:阿漕洋子選手
10月26日 第8回Shieldsオープン(軽井沢 馬越ゴルフコース)
一般:大塚高雅選手 シニア:樫原篤弘選手 女子:三浦尚子選手
10月27日 ビクセンカップ in 軽井沢(馬越ゴルフコース)
一般:峯尾和延選手 シニア:大塚有尋選手 女子:三浦尚子選手
11月3日 ジャパンツアーファイナル2019(馬越ゴルフコース)
優勝:立花友佑選手 準優勝:桑田寛之選手 3位:木村勝選手
2019年8月25日北海道オープンの様子
2019年11月3日ジャパンツアーファイナル
各カテゴリーとも過去のワールドカップやアジアカップで日本代表として戦った選手が名を連ねる中、これまで代表歴のない選手の活躍が目を引きます。
立花選手の優勝は、一般カテゴリーでは、2016年以降の大会におけるワールドカップ経験者以外での初のジャパンオープン優勝者となりました。
シニアも根元選手や都築選手のようにワールドカップ等の日本代表経験者以外での優勝者が出てきました。三浦選手はフットゴルフ参戦1年目での5勝という素晴らしい結果。
新たな扉が開かれた1年となりました。
そんな新たな力に触発されるようにワールドカップ戦士たちもさすがの実力を発揮。
国内での戦いは盛況となりました。
一方、世界との「差」を埋めるためのもう一つの挑戦。
その進化への思いは海を越えます。
「海外挑戦」です。
「3月の台湾での大会が、2019年シーズンの幕開けとなりました。私を含め何人もの日本人選手が参戦しました。ワールドカップでの不完全燃焼を抱えた選手や、代表に惜しくも届かなかった選手たちが新たな目標を掲げ、新しいシーズンを海外からスタートしたのだと思います。
6月にはメジャー大会のフレンチ・オープンと、翌週に開催されたスイスでのThe Classicに出場しました。多くのヨーロッパ人選手たちが両大会に参加していました。車で国境を越えて移動しても約8時間ほど。キャンピングカーでやってくる選手もいます。毎週どこかで開催されるツアーを渡り歩く選手もいます。ヨーロッパのフットゴルフ環境をとても羨ましく思えました。
9月にイギリスで開催されたメジャー大会のUKオープンには、8月の北京大会で共に戦った中国人選手たちも数多くエントリーしていました。その年の終わりに開催されるアジアカップや、次のワールドカップに向けて、世界での経験を必要と感じていたのは彼らも同じだったのでしょう。
フレンチ・オープンやUKオープンに続いて、ゴルフのライダーカップの舞台ともなった名門コース「ケルティック・マナー」での大会にも参加しました。その素晴らしい環境に、モロッコ・ワールドカップのコース・レイアウトや大会運営は、ヨーロッパのスタンダードだったのだと、あらためて感じることとなりました。」(大塚有尋選手/2018年ワールドカップ出場)
スイスの大会The Classicでの大塚有尋選手と大会の様子
「JAPAN INTERNATIONAL FOOTGOLF OPEN(第40回ジャパンオープン)と同月にFIFG500 CHINA OPENがありましたが、怪我もあり、参戦を見送ろうと思っていましたが、いつもサポートしてくれている整骨院の岩間院長から、『怪我はおれがなんとかしてやるから、海外のトップの選手と戦ってこい。絶対後にこの経験が生きてくるから。』と背中を押してくれました。そして首位で迎えた最終日、最終組のメンバーは世界トップ選手のマティアス、ニコラス、レブチェンコとのラウンド。画面越しで見ていた選手たちとのラウンドは夢のようでしたが、憧れを抱いた瞬間に飲まれると気合を入れ直し、心は熱く、頭は冷静に戦うことができました。同組のスコアを見ていなかったので、ラウンド後に選手たちが寄ってきてくれて祝福してくれてそこで初めて勝ったことを知りました。ワールドカップチャンピオンに直接対決で勝ったことが、私の飛躍の糧となり、ワールドカップ優勝という目標が明確になりました。」(立花友佑選手)
【選手写真提供】
FIFG500 CHINA OPENの様子
【選手写真提供】
FIFG500 CHINA OPEN一般の部ベスト3
優勝:立花友佑選手(中央) 準優勝:小林隼人選手(右) 3位ニコラス・ガルシア選手(左・アルゼンチン)
「2018年モロッコ大会が終わり、2019年シーズンについてFIFGから発表があった。「2019年ワールドランキングトップ50は日本W杯への出場権を与える」
当時、日本代表選考もワールドランキングで決定していたこともあり、世界に飛び出すチャンスが来た!と思った。それまではジャパンツアーを主戦場にしていたが、世界で勝つために海外試合を主戦場にすることを決めた。
そして、4月からジャパンツアーは開幕していたが出場はせず、アジアカップ2019が開催されると決まっていたこともあり、自身の開幕戦は5月オーストラリアオープンFIFG250で迎えた。そこから中国、イギリスなど海外遠征を繰り返し、国によってコースの特徴が違う環境、食事、体のケア、言葉の壁にぶち当たりながら、その中で自分を研ぎ澄まし、世界で戦える、勝てるという自信が深まった。
2018年に感じた「世界」は、手の届く範囲の「世界」と思えるようになった。
イギリスでのフットゴルフ修行での衝撃はすごかった。まずはGatwickコース。サッカーコート2面分程度の面積しかないが、この中に18ホールあり、「フットゴルフとは?」という答えがたくさん詰まったコースだった。
距離はないが、極端に幅が狭く、カップ位置が絶妙でキックの距離、種類で、ボールの置き所を考え続けないといけないコースだった。ここがホームコースの世界トップ選手であるベンジャミン・クラークが強い理由がわかった気がする。日本人3人で行ったが全員「ここはフットゴルフの精神と時の部屋」だと答えた。
次にイギリスの選手層の厚さ、レベルの高さにビックリさせられた。
全英オープンは、イギリス特有の風の強さに驚いた。日本でも風が強い中で試合をすることがあるが、イギリスは常に風が吹いており、イギリスの選手はそれが当たり前なのだろう、全選手が平然と風を計算してプレーをする。ほとんどの選手がインサイドキック系の強く押し出して転がすキックを持ち合わせていることにびっくりさせられた。その中で、強い向かい風の中、平然とインステップキックで、風を切り裂くキックを炸裂させる選手がいた。アプローチもパットも僕らより上手く、度肝を抜かれた。
名前を聞いたことがない選手だなと思いながら、話を聞くとイギリスのノンライセンスの選手(ワールドランキング外)だった。この1年後に彼はイギリスのトップ選手になっていた。」(安村翼選手)
【選手写真提供】
イギリス UKオープンでの安村翼選手
【選手写真提供】
左:和志武亮選手(2016年ワールドカップ日本代表) 中央はフットゴルフの生みの親 ミハエル・ヤンセン氏
【選手写真提供】
イギリスGatwickコース 安村選手曰く「フットゴルフの精神と時の部屋」
自分への、フットゴルフへの向き合い方は人それぞれで正解はなく、選手のみなさんは自分が出来ることに懸命に取り組んだことでしょう。
そうした中での海外挑戦。
その意味をひとことでまとめるのは容易ではありませんが、「世界との差の確認とそこへのチャレンジ」ということではないでしょうか。
安村選手の話にあったように、目指すものがワールドカップのような「世界の舞台で勝つ」ことであれば「世界」とは何なのか、その「差」とはどんなところにあるのかを知り、そこに追いつき、追い越すためにはどうすればいいのかを考えて取り組むことが必要です。
国内で、海外で、選手の皆さんは懸命にそこに向き合っていたことでしょう。
先の冨沢選手、八谷選手のお話にはそんな姿が見て取れます。
海外経験について語っていただくお話には本当に参考になることがあります。
また、日本から離れた海外での大会においては、ベストのパフォーマンスを発揮するための戦いが別に存在します。
気候、食事、休息、言葉の壁・・・
プロのスポーツ選手のような十分なサポート体制が整えられていないフットゴルフの選手の皆さんは、こうした環境への対応は自分で行わなければなりません。
8月の中国のCHINAOPENの時は本当に大変だった、というお話も聞きました。
ただ、数々の経験を踏まれた選手の皆さんには多少のトラブルには動じない落ち着きをも感じます。
「それもフットゴルフ」
海外での過酷な経験は肉体的にも精神的にも選手を強くするものでしょう。
ただ、本番でのパフォーマンスに集中できるようなサポートが出来るようになることが選手の皆さんのさらなる強さにつながるとしたら・・・
フットゴルフを取り巻く環境の向上を願わずにはいられません。
そしてそんな取組みのひとつの集大成とも言える大会が11月に待っていました。
第3回アジアカップ。
11月18日(月)~24日(日)にオーストラリアのHORIZONS GOLF RESORTにて開催され、
ホスト国のオーストラリアをはじめ、中国、韓国、台湾、マレーシアそして日本の計6か国の選手が出場しました。
栄えある日本代表メンバーは以下の通り。
一般の部:
小林隼人選手 鈴木秀成選手 安村翼選手 木村勝選手
立花友佑選手 大塚高雅選手 田中雄太選手 冨沢和未選手
桑田寛之選手 阿部敏之選手
シニアの部:
大塚有尋選手 田中猛選手 樫原 篤弘選手 工藤誠司選手
女子の部
前田春香選手 阿漕洋子選手 三浦尚子選手 山野香織選手
2019年アジアカップフットゴルフ日本代表
2016年の第1回大会では個人戦で優勝の桑田寛之選手をはじめ上位6名を日本人選手が独占。団体戦でも日本チームが優勝、準優勝と日本勢の活躍が目立ちました。
2018年の第2回大会でも一般の部と女子の部では優勝から3位を日本人選手が独占(一般優勝:小林隼人選手、女子優勝:山野香織選手)。シニアでも大塚有尋選手が3位。団体戦では中国チームに敗れたものの準優勝に輝きました。
いわば日本にとって相性のいいこの大会。次のワールドカップに向けての重要な国際大会の舞台です。
果たしてその結果は?
・個人戦
<一般の部>
優勝(±0):安村翼選手
4位タイ(+8):桑田寛之選手、冨沢和未選手
6位タイ(+17):小林隼人選手
11位タイ(+19):鈴木秀成選手、大塚高雅選手
13位(+20):木村勝選手
15位タイ(+23):立花友佑選手、阿部敏之選手
18位タイ(+24):田中雄太選手
<シニアの部>
2位(+22):樫原篤弘選手
5位(+27):工藤誠二選手
9位(+35):大塚有尋選手
16位(+61):田中猛選手
<女子の部>
優勝(+20):前田春香選手
2位(+23):阿漕洋子選手
3位(+31):山野香織選手
5位(+46):三浦尚子選手
・団体戦
<一般の部>
◆予選(総当たり戦)
vs 韓国(6-1-0:勝ち点3)
vs 台湾(6-1-0:勝ち点3)
vs 中国(3-1-3:勝ち点1)
vs オーストラリア(4-1-2:勝ち点3
vs マレーシア(6-1-0:勝ち点3)
◆決勝
vs オーストラリア(3-1-3)プレーオフ 1勝2分3敗
以上の結果より、準優勝
<シニアの部>
◆予選(総当たり戦)
vs 韓国(DW:勝ち点3)
vs 台湾(2-1-0:勝ち点3)
vs 中国(1-1-1:勝ち点1)
vs オーストラリア(0-0-3:勝ち点0)
vs マレーシア(DW:勝ち点3)
◆3位決定戦
vs 台湾(2-0-0)
以上の結果より、3位
個人戦では一般の部で安村翼選手が見事に初優勝!!女子の部で前田春香選手が優勝に輝いた他、準優勝に阿漕洋子選手、3位に山野香織選手とトップ3を日本勢が独占!!シニアの部でも樫原篤弘選手が準優勝と全カテゴリーで日本勢が上位に輝きました。
団体戦では一般の部では惜しくも準優勝。地元オーストラリア相手に互角の戦いを見せながらプレーオフでの敗北と悔やまれる結果となりました。
また初の開催となったシニアの部での団体戦は3位となりました。
選手の皆さんの声を聞きましょう。
「2019年はアジアカップで優勝することを目標に1年間スケジュールを立てて臨みました。日本の大会ではなかなか結果を出せず、まさか私が優勝すると思ってなかった人も多くいたと思いますが、1年間この目標を達成するために色々と考えて努力した結果、優勝できたことは本当に嬉しかったです。なによりその過程を知ってる仲間達が笑顔でおめでとうと言ってくれました。その時に表彰台から見た景色はいまだに目に焼き付いています。
また、日頃から応援していただいてるスポンサーの皆さまにようやくいい報告ができ、正直ほっとした気持ちもありました。」(前田春香選手)
女子の部優勝の前田春香選手
「第3回アジアカップ オーストラリアの会場はワールドカップ(モロッコ )を連想させる難しいカップ位置に綺麗な芝、とても素晴らしいコースでした。最終日を首位で迎え、前回大会の悔しさを晴らそうと挑みましたが、重要な場面での判断ミスからスコアを崩してしまい届きかけていた優勝を逃してしまい悔しさが残りましたが、優勝した前田選手のラウンドは終始安定していて素晴らしかったです。」(阿漕洋子選手)
「1番は海外の選手と交流できることが勉強にもなりますし、連戦という中での戦い方や、メンタルの維持。全てに対して、自分に足らないことが浮き彫りになった大会でした。」(山野香織選手)
「ただただ何もできなかった。ホントにその一言につきます。ただこの経験がなかったら、今の私はいないと思います。」(三浦尚子選手)
女子代表 左から 阿漕洋子選手 山野香織選手 前田春香選手 三浦尚子選手
「2019年11月18日-22日オーストラリア ポートステファンズにあるホライゾン・ゴルフ・リゾートで開催された。オーストラリアを代表するカンガルーが現れるコースであり、コアラを見つけると幸せになれる。選手は優勝できると言われていました。Green Course、Gold Courseの2コース(36ホール)で開催された。
私自身は5月のオーストラリア遠征で、運よく試合会場変更により、このホライゾン(Gold Course)でプレーできていた。コースのイメージ(地面が固い、芝が薄い、ボールがよく走る)を持つことができていた。
この大会に臨むにあたって自身のテーマは「わがまま」だった。周りに気を取られず、自分と向き合う、これまでの海外遠征で、学んだことだった。
1日で午前に個人戦18ホール、午後に団体戦9ホール2試合というハードなスケジュールだったため、疲れを残さない。終わったら結果を振り返らない。ということを考え、わがままに自分のペースで行動をしていました。
個人戦では、初日はオーバーパーで周り、高順位は難しいかと思いましたが、意外にも3位タイと好位置でスタートすることができていました。好位置だったこともあり、「守る」フットゴルフを継続。2日目終了時点で2位に3打差のトップに立っていました。
個人最終日では、オーストラリア選手の集中力、猛追に脅威を感じました。他の選手のプレーを見ながら差を守れば良いと思っていましたが、常に他の選手に矢印を向けてのプレーほど難しいものはありませんでした。ビッグプレーを何回か出されて、2位につけていたKnot Deryn選手(オーストラリア)に9ホールで追いつかれてしまいました。追いつかれる想定もしていましたが、9ホールで追いつかれるとは思っていなかったので、内心は焦りもありましたが、淡々と進める「わがまま」に徹するということを言い聞かせていたのを覚えています。
10番ホールでスコアを落としてくれたため、すぐに2打差で首位に戻れたことは幸運でした。
しかし、今度は4位でスタートしたAckland Josh選手(オーストラリア)が、ジリジリと2位まで詰め寄ってきました。一難去って、また一難。緊張感のあるラウンドが続いていましたが、顔に出さず、淡々と「わがまま」に自分のできる一打一打を大切にして2つスコアを伸ばし、残り3ホールが残ったところで日没サスペンデッドとなり翌日の早朝に持ち越しされました。実は、日没サスペンデッドになってホッとしていました。2位Ackland Josh選手の勢いもあり、暗くなり、見えづらい難しい状況でのプレーは大きなミスから逆転をされる可能性もあったからです。翌日の残り3ホールは、頭の中は冷静で、リラックスしていて、様々なことが頭の中を駆け巡っていましたが、もっとプレーしていたいという気持ちがあったのをよく覚えています。最後のウィニングパットを蹴る瞬間まで大喜びしようと思っていましたが、ホッとした気持ちで涙を流していました。
日本代表のムードメーカー資格ですw
団体戦については、オーストラリアにプレーオフで負けてしまいました。
団体戦は過去2017年アジアアップ、2018年W杯、2019年アジアカップと3大会で大事な試合を落としてします。敗因は、様々な理由があると思います。私が考える要因は「準備不足」だったと思います。
団体戦は、マッチプレーとなり、組み合わせ、戦い方、戦略、情報共有などが勝負の鍵になる。と感じました。個々で戦うだけでは勝ちきれない。チームとして「どう戦うか」という準備が重要だったのだと思う。」(安村翼選手)
男子一般の部優勝の安村翼選手
「選考について
この時の選考基準が代表選考人数(発表当時は定まっていなかった)の半分がFIFGワールドツアーランキング順、残り半分が協会推薦枠だったと記憶しております。
上位のいくためには国内の大会だけでなく、海外の大会にも出場することで代表への道が近くなる選考基準でした。
私も8月のチャイナオープン(FIFG500)にチャレンジし上位を目指しました。
結果、一般カテゴリー10枠と発表され、ワールドツアーのランキングでは10位以内には入っておりませんでしたが、2回の優勝を評価され(たと思ってます)推薦枠で代表に選ばれました。
・レギュレーションについて
練習ラウンド
個人戦、54ホール
団体戦、予選リーグ6ホールマッチを5戦(オーストラリア、中国、台湾、韓国、マレーシア) 決勝戦(18ホール)
を五日間で行うタフな日程でした。
午前、午後とも大会で心身共にタフではありましたが、フットゴルフトレーナー協会の方々のケアもあり身体的には5日間戦い抜くことができました。
・コースについて
日本とは違い、固くフラットなコース、フェアウェイやゴルフグリーンのカラー、バンカー付近に切ってあるカップ、飛び回るカンガルー、などなど普段の感覚が全く通用しないコースで、アジャストに苦しみました。
ワールドスタンダードという話を聞き、日本でもこのようなコースが増えればと期待しておりました、このような情報が少しずつ広まっており、各ゴルフ場の方にはいろいろ工夫していただいておりますので本当に感謝しております。
・結果について
個人戦11位
3日目にきっちりスコアを伸ばしてくる選手が多い中、3日間でアジャストできず終わったイメージでした。正直悔いが残る結果でした。
団体戦2位
私自身、初のチーム戦マッチ戦で経験のある選手に引っ張ってもらいながらも、左利きの選手が少ない分、はっきりした特徴を活かし自分らしさが出せたチーム戦でした。
オーストラリアはホームでコースを知っており、準備をしっかりしてきた印象で、チーム日本は明らかにその準備の差で負けたと感じました。
この結果などから、協会はじめ各選手がマッチ戦の経験の場を増やすきっかけになっているかと思います。
間違いなく日本はリージョン4を引っ張っていく国でなければならず、そこには結果が必要である。各選手のレベルアップはもちろん、普段のストロークプレーのマネジメントとは違うマッチプレーのマネジメント、団体戦でのマネジメントの強化が必須であると感じおります。その環境をどのように生み出すか、協会、ゴルフ場、選手が三位一体となって進んで行きましょう!」(大塚高雅選手)
「【結果】個人戦 : 4位 チーム戦 : 2位
2018年の第2回アジアカップの悔しさを晴らすべくキャプテンとして臨みましたが、個人、団体ともに悔しい結果で終わってしまいました。
複数日でのプレーでスコアを伸ばしていけた点は良かったですが、今大会では生命線であるパターが絶不調でスコアを多くの場面で落としてしまいました。
またチーム戦でも大事な場面で自身がミスをしてしまい、決勝戦で優勝に導くことができませんでした。
オーストラリアはコースホームだったこともあり、攻略方法を熟知しておりましたが、その状況でも日本として圧倒したかったので、残念な結果となり非常に悔しかったです。
その上で個人で優勝したヤス(安村選手)はとても高いパフォーマンスで戦い切り素晴らしかったです!
チーム戦を通じて感じたことは、個人の力だけではなく、よりチームとしての戦い方をもっと研究しないとアジアにおいても勝ちきれないなと痛感しました。(逆にいうと個で負けている世界トップに対しても、チャンスは多いにあると感じました)」(桑田寛之選手)
「2019年は結局1勝も出来ず、ファイナルもユースケに敗れ年間チャンピオンを逃しました。ただ、アジアカップ選考の年間ランキングは1位で通過しており、内容は悪く無かったんです。アジアカップ本戦も初日トップでしたが、2日目以降で崩して結果6位に…。「結果を出す」ことの難しさに苦しむ一年になりました!」(小林隼人選手)
左から 小林隼人選手 安村翼選手 桑田寛之選手
「前回2018年は悔しい思いをしたので何としてでも個人、団体優勝を狙っていました。これまで中国での開催のみであったため、オーストラリア開催というのもとても新鮮でワクワクしていました。」(鈴木秀成選手)
「日本チャンピオンとして挑んだアジアカップでは、自分の持ち味でもある攻めのフットゴルフが全く通用せず、自分のプレーの引き出しが少ないことを痛感しました。
アジアチャンピオンになった安村選手や前田選手は、W杯や海外ツアーにも参戦していたので、プレーが多彩で冷静に判断しながら戦っているなと感じました。
一方団体戦では、シングル戦に出場し、負け無しで戦えたことは自信になりましたし、決勝で日本がオーストラリアに敗れ、悔しい思いもしたことでまた強くなるための刺激をもらったと感じました。」(立花友佑選手)
「印象深いのは団体戦、難しい試合でしたけど、やっぱりみんなで勝ちたかった。負けてしまったのは悔しいですけど、落ち込んでいられる時間もないです。個人としても日本人選手全体としても成長して、またみんなで個人戦ではなく団体戦で国のために一致団結して集まれるように、切り替えて頑張っていきたいです。
個人戦に関しては、アジアカップにしろワールドカップにしろメジャー大会にしろ一発勝負ではなく複数日に渡りパフォーマンスを維持できなければ戦うことは難しいです。その複数日のためにという展望を広めたいと思っています。」(冨沢和未選手)
「ワールドカップから少しは上手くなったと思い楽しみにしていましたが、全然通じず。
シニアも1日のうちに個人戦と団体戦があり、日没で翌日早朝に2ホールとかタフな日が続き、日本ではないコース設定と強風と当時世界的ニュースになっていた熱波にに苦しんだという記憶です。
ただ5日間で7ラウンド、続けてのオーストラリアオープンの2日で3ラウンドを含めると、10日で真剣勝負が10ラウンドは、あの環境で良くやったなという自信にはつながりました。
シニアで優勝した中国の元プロサッカー選手のJie JI選手の安定感(紳士でしたし奥様も品があった)は理想とする選手となりました。」(工藤誠司選手)
「前回のアジアカップでは中国の躍進を目の当たりにしましたが、第3回アジアカップでも、開催国オーストラリアのプレーヤーのレベルの高さを知りました。さらに、フットゴルフが普及し始めたばかりのマレーシア・チームにも大きな可能性を感じました。今後は、ゴルフ場環境が豊でサッカー人口も多い、韓国やタイでもフットゴルフは必ず普及していくはずです。アジアの競争の激化は必至です。」(大塚有尋選手)
男子シニア代表 左から 工藤誠司選手 田中猛選手 樫原 篤弘選手 大塚有尋選手
他国の選手のレベルの向上、ワールドスタンダードに近いコースレイアウト、ラウンド数も複数日を基本とした過密日程での開催。そして個人戦はもちろんのこと、個人戦とはまた違う臨み方、戦い方が必要となる団体戦での戦い方。
アジアカップでの戦いは回を追うごとに激しさ、厳しさを増している印象があります。
そうした舞台で結果を出すためには本番でのパフォーマンスが重要なことはもちろんですが、本番に至るまでの準備、つまり本番で勝つためにはどうすればいいのかを考えること、シュミレーションすること、トレーニングしておくことが必要です。
限られた時間の中でそうした取組みを行うことは口で言うほど簡単ではありません。
団体戦でのいくつもの経験を経てしっかりと準備を行った結果が後の日本代表の戦いで実を結ぶ時が2022年になって訪れます。
そのお話はまた改めてお伝えします。
こうして激動の2019年が終わろうとする中、早くも2020年に向けた動きが12月には始まります。
12月14日 TBC太陽クラブ 第9回Shieldsオープン。
ワールドカップイヤーに向けた2019-2020シーズン全16戦の開幕です。
そう、またワールドカップがやってくるのです。
そしてなんとその舞台は日本!!!
第4回フットゴルフワールドカップは日本で、栃木県さくら市のセブンハンドレッドクラブで開催されることになりました。
セブンハンドレッドクラブは日本フットゴルフ協会アンバサダーであり、世界的サッカー漫画『キャプテン翼』の原作者である高橋陽一先生にコース監修していただいた日本で14番目のオープンした常設のフットゴルフ場です。
あの夢の舞台が日本で、自分たちの地元で開催される・・・
選手の皆さんからは一様に喜びと決意の声が聞かれました。
「アジアカップが終わり、その熱も冷めぬままW杯の日本開催が決定したので、私は『自国開催・自国優勝』ということを掲げました。
フットゴルフが日本でも普及してきている現在、日本でW杯が開催され、そこで優勝すれば最大限の普及に繋がるのではないかと考えました。
生まれ育った日本の気候で、知り尽くしたコースでの大会は、私の目標を現実にするまたと無いチャンスだと思っていました。」(立花友佑選手)
「前回大会に出場できなかった分、自国開催で必ず出場しなければという思いという選手目線の思いと、大会自体が盛り上がるにはまず、国内でフットゴルフの認知度を上げる必要があり、個人的にできることをやっていかねばという思いがありました。」(大塚高雅選手)
「ついに4度目のW杯がアジアにくる、しかも日本で開催されると言うことにとても興奮していました。しかもこの年は東京オリンピックも開催されると言うことでスポーツ全体が盛り上がっているであろう時にフットゴルフW杯が日本で開催されると言うのは一生に一度の最大のチャンスだと心躍らせていました。」(鈴木秀成選手)
「・率直に嬉しかった。理由は以下の通り。
①国内におけるフットゴルフの普及がより急速に進むとイメージでき、フットゴルフ市場が拡大すると確信した。
②日頃応援してくれている方(FC岐阜フットゴルフクラブ、スポンサー、家族、友人)などに、プレーしている姿を見てもらえる。そして、恩返しができるチャンスだと感じ、必ず出場したいと強く思った。」(高波瀬史人選手)
夢と希望の舞台への選手の皆さんの思いは募ります。
しかし、2020年が幕開けて間もなく、そんな選手の皆さんの行き先に暗い影を落とす世界的な悲劇が起こります。
「みんなが夢見る希望の2020年」は果たしてどんな道を辿るのか?
次回は “ワールドカップイヤー” 2020年の様子を追います。
どうぞお楽しみに!!